大人の男の装いと称して、上質な革鞄の中から、手入れの行き届いた革財布や、洗練され選び抜かれたステーショナリーが取りだされると、なんだか小気味よい気分になってしまう、なんて方もいらっしゃるようです。
紳士の嗜みなどと言うと、キザであるかもしれませんが、自分に合ったものを身の周りに選び抜ける人というのは、なんとなく信用ができる人間なのではないかという人もいます。
自分に似合うものを、数ある物の中から選べる能力というのは、人生の荒波を超えてきたからこそ得られる能力の1つであるのかもしれません。
もちろん、ただ単にセンスや感覚の問題ではないのかと言われてしまえば、それまでなのですが・・・。
どんなに高価なものを身につけていても、それらの役目が、単なる装飾品に見えてしまう人は、見かけだおしの人という印象を与えることも。逆にいえば、信頼感と長い付き合いは、ある程度装いで勝ち取れるのです。
「神は細部に宿る」と、著名な建築家が語った言葉には、筆者自身の全ての価値感が表現されているように考えています。
人間は、見かけではないと言う人もいますが、人間は外見の印象で、そのひとの本質までも見抜くというような先人もいます。
装いというものは、言葉巧みな説明よりも、全てを物語る事もあります。装いは、社会で賢く生きていくための知恵でもあるのです。